法   律


倒産処理の手続
(会社更生)

弁護士 永 原 憲 章

(問)会社更生手続きに関し、更生計画案はどのように審理、決議されるのか教えて下さ い。

(答)
1. 更生計画案の作成
 会社更生手続開始決定があると、更生計画案の作成に着手することになります。更生手続が成功するか失敗するかは、この更生計画の内容によるところが極めて大きいと言えます。
 更生管財人は、更生債権及び更生担保権の届出期間の満了後、裁判所の定める期間内に計画案を作成して裁判所に提出しなければなりません。
 開始決定があった会社、届出をした更生債権者、更生担保権者等も更生計画案を裁判所へ提出することが認められていますが管財人以外のものが提出することはまずありません。
 裁判所は、会社の規模、事業の性質、利害関係人の数などの諸々の事情を考慮して、計画案の作成、提出期間を定めるが、この期間は伸長することができます。この期間内に如何なる計画案も提出されなかった場合には、更生手続きは廃止となります。
2. 更生計画案の記載事項
 @ 必要的記載事項
ア 更生債権者・更生担保権者・株主の権利を変更する条項
イ 共益債権の弁済に関する条項
ウ 債務の弁済資金の調達に関する条項
エ 予想超過収益金の使途に関する条項
 A 任意的記載事項
ア 営業または財産の譲渡・出資・賃貸・経営の委任に関する条項
イ 定款変更に関する条項
ウ 資本減少・合併・解散に関する条項
エ 新株発行・社債発行に関する条項
オ 取締役に対する事業経営権・管理処分権を付与する条項
 B 相対的記載事項
ア 未確定更生債権・未確定更生担保権に関する事項
イ 弁済した少額債権および中小企業者の債権等に関する条項
ウ 争いの落着しない権利に関する条項
3. 更生計画案の審議・可決
 上記記載の条項を内容とする更生計画案が提出されると、裁判所はこれを審理するための関係人集会を開き、決議を行います。
 決議は、通常、更生債権者の組、更生担保権者の組、株主の組に分けて行います。
 更生計画案可決の要件は、
@ 更生債権者の組においては、議決権を行使できる債権者の議決権総額の3分の2以上の同意
A 更生担保権者の組では、更生担保権の期限の猶予を定める計画案については議決権総額の4分の3以上、更生担保権の減免その他期限の猶予以外の方法により権利に影響を及ぼす定めをする計画案については、議決権総額の5分の4以上の同意
B 株主の組においては、議決権を行使することができる株主の議決権の総数の過半数にあたる者の同意
を各必要とします。
 可決された更生計画は、裁判所の認可決定の時から効力を生じます。
 ところで、更生計画案の主要な内容は、前記2.@、アの利害関係人の権利変更です。会社更生法は、更生計画案の内容について、権利の順位を考慮して、計画の条件に公正・衡平な差等を設けること、同じ性質の権利については平等でなければならないこと、遂行可能であることなどを一般的な原則として定めていますが、これまでの実例では、更生担保権については、多くの場合全額が弁済される内容となっており、租税公課や退職金債権等の優先的更生債権についてもその全額を初年度一括弁済または短期間の分割弁済となっているのに対し、一般の更生債権は、債権の免除、弁済期間、弁済方法、履行の確保の方法のいずれにおいても前二者と比較して不利に扱われています。
 このように条件の差等が不利であることの理由としては、更生手続開始に至る企業は多くの場合、債務超過であり、破産原因を有しているので、破産に移行したときに一般更生債権者が不動産等の換価処分代金から弁済を受けうる可能性は乏しく、そもそも営業収益金からの弁済を除いては清算的配分には預かる部分が少ないこと、一般の更生債権者のかなりの部分の者は更生会社と取引のある者で、当該企業が維持されることによって、商取引上のメリットを受ける立場にあり、債権の回収は単に更生債権の金銭的回収のみの面にとらわれるのではなく、新たな取引による利益獲得の方が重要であって旧債権の回収は二の次と理解される側面のあることによります。
 決議のための関係人集会の期日に、更生計画案に対し、前記法定多数の同意が得られなかった時は、更生計画は可決されなかったことになります。この場合であっても、裁判所は、なお時間をかければ可決の見込みがあるときは、決議のための関係人集会の期日から3ヶ月以内の日に、続行期日を定めて言い渡さなければなりません。
 また、一部の組だけが不同意であるときは、裁判所はその組の関係人について、権利保護条項を定め、更生計画認可の決定をすることもできます。
 更生計画認可決定が確定すると、会社は更生計画に定められたものを除いて、原則としてすべての更生債権などについてその責任を免れ、株主の権利や会社財産上の担保権はすべて消滅し、更生債権者の権利は、更生計画の定めに従って変更されます。
 更生計画が遂行されたとき、または、更生計画が遂行されることが確実であると認められるに至ったときは、裁判所は終結決定をし、これによって更生手続は終了し、管財人の任務も終了し、更生会社は裁判所の監督を離れ、通常の会社に復帰します。