会    計


新基準によるゴルフ会員権の減損処理について

公認会計士 中 谷 紀 之

(問)ゴルフ会員権につき評価減が必要になったとのことですが、どのような場合にどのように評価減をするのですか。
(答)
1. はじめに
 ゴルフ会員権の相場がバブル崩壊後著しく下落していますが、この評価減の処理に関する基準が、平成12年1月31日付で日本公認会計士協会より公表された金融商品会計に関する実務指針(中間報告)の中に示されました。このルールは、平成12年4月1日以降開始する事業年度より適用されます。これによると、「施設利用権を化体した株式及び預託保証金であるゴルフ会員権等は、取得価額で計上する。それらに時価があるものについて著しい時価の下落が生じた場合、又は時価を有しないものについて当該株式の発行会社の財政状態が著しく悪化した場合には有価証券に準じて減損処理を行う。また、預託保証金の回収可能性に疑義が生じた場合には、債権の評価勘定として貸倒引当金を設定する」と定められています。以下、もう少し詳しく説明します。

2. 時価を有するゴルフ会員権の場合
@ 時価を有する株式方式による会員権の場合
 時価が著しく下落した場合(50%以上下落した場合)には、合理的な反証がない限り(時価が回復する見込があると認められる場合を除き)、時価まで簿価を直接減額しなければなりません。
A 時価を有する預託保証金方式による会員権の場合
 時価が著しく下落した場合には、合理的な反証がない限り、減損処理をしなければなりませんが、時価が預託保証金を上廻るケースは、簿価を時価まで直接減額し、時価が預託保証金を下廻るケースは、簿価を預託保証金まで直接減額し、さらに預託保証金と時価との差額は、貸倒引当金を設定します。

3. 時価の無いゴルフ会員権の場合
@ 時価の無い株式方式による会員権の場合
 発行会社の財政状態が悪化し株式の実質価値が著しく低下した場合、合理的反証がない限り、簿価を実質価値まで直接減額しなければなりません。財政状態が著しく悪化しているかどうかは、主としてゴルフ場の財務諸表により判断することになると思われます。(株式方式の場合は、決算財務諸表は入手出来るはずです。)
A 時価の無い預託保証金方式による会員権の場合
 預託保証金は金銭債権であるので、その回収可能性に疑義が生じた場合は、回収不能見込額相当の貸倒引当金を設定しなければなりません。
 預託保証金が破産・更生債権に該当する場合には貸倒引当金を設定することは当然ですが、貸倒懸念債権に該当する場合も貸倒引当金を計上することが必要です。貸倒懸念債権かどうかは、○預託保証金の返還期日が到来しているのに返還に応じない場合、○返還期日の延長申し出があった場合、○ゴルフ場が閉鎖されプレー出来ない場合等は、ゴルフ場の財政状態が悪化しており、貸倒懸念債権に該当すると考えられます。また、時価が無い預託保証金であっても、簿価が預託保証金を上廻っているケースがありますが、このケースで減損処理をする時は預託保証金までは簿価を直接減額し、残りにつき貸倒引当金を設定します。

4. 時価について

 ゴルフ会員権の時価は、日刊新聞に定期的に又はゴルフ会員権取扱店で相場が提示されていますが、当該相場は、価額の信頼性と実現可能性を確保できるほどの市場の厚みがないこと、ゴルフ場によっては、額面の異なる数種の預託保証金で会員を募集しており、預託保証金の多寡により時価も異なりますが、この辺りの情報は開示されていないこと、最近の相場が無いケースがあることなど、正確な時価を算出することが困難なケースが多々あります。時価の算定に当っては、上記のような点を十分考慮し、業者が示す気配値も含め、慎重に時価情報を集めることが必要です。
 また、名義変更料を加算して、再調達価額を時価とする考え方もありますが、ゴルフ会員権を金融商品と見做す以上、金融資産の売却により入手できる現金の額、即ち買値を時価と見做すべきでないかと思います。