<窓>4〜6月名目GDPは前年同期比マイナス |
伊 藤 豊 輝
1)4〜6月の実質GDPは前期比プラス 1.0%(年率プラス
4.2%)と一見華々しい数字ではある
が、内実をみると、公共投資のプラスに助けられた形で(寄与度プラス
1.0%)、期待の設備投資が前期比マイナスとなり、自律回復の道程は遠いといわざるを得ない。
2)また経済の実態をあらわす名目GDPをみるに、実質GDPの対前年同期比がプラス
0.8%に対し、GDPデフレーターが前年同期比マイナス 1.9%であるから、名目GDPは前年同期比マイナス
約1%の筈である。実態経済は依然デフレ傾向が続いている。この厳しい現実を見逃してはならない。
3)マーケットはこの厳しい現実を見逃さなかった。経企庁がGDPを市場発会時前に発表した9月11日は日経平均で370円の急落(16,501.55円から16,130.90円へ)をみた。前期比1%のプラスより公共事業主導・設備投資マイナスの実態を重視したためである。もし名目GDPのマイナスを市場が鮮明に認識していたら反応はもっと手厳しかったに違いない。
4)海外投資家の反応も厳しかった。連日のように売越で推移、株価の足を引っぱっている。中間決算期を控え持合解消・利益確定売の出やすい時期とはいえ、最近の軟弱な地合は日本経済のファンダメンタルズを内外の投資家が楽観視していないことを物語っている。
5)たゞこゝで不思議な現象が日本のエコノミストの間でみられる。企業業績の著しい好転・IT開発中心に設備投資の増大・自律回復の見透しなど強気の見方が勢力を得ていることである。本年度の実質GDPの見透しを平均プラス
2.2%としている。恐らく名目GDPもプラスと予測しているに違いない。
6)これに対し堺屋経企庁長官は7〜9月は消費の落込・公共事業の減速で前期比マイナスとなり10月以降も補正予算がなければ昨年度同様下期はマイナスに転じ、年度プラス
1.0%の実質GDPがやっととし、補正予算の必要性を強調している。’97年の二の舞はしたくないと。
7)先般アメリカのサマーズ財務長官は宮沢大蔵大臣に対し、日本が景気回復に金融財政両面で全力をつくすよう要請、アメリカが依然日本経済の立直りの遅れを厳しく見ていることを示し、補正予算を渋る大蔵省を牽制したものといわれる。
8)景気見透しの強気なエコノミスト・マスコミの中にはこれ以上の国債発行をやめ、補正予算は不必要・自律回復確実との論調が強まっている。
9)結局補正予算の問題が今後焦点になろうが、要は景気判断如何にかゝっている。不良債権の増大(担保土地の値下り、従来の査定の甘さ、そごうがその象徴)、アメリカ経済の減速(ハイテックのナスダック株価の軟調)、原油高騰による企業業績への影響、消費・雇用の低迷(企業業績の回復はリストラが主因で消費・雇用は好転しない)ゼロ金利の解消(中小企業には金利上昇は傷手)、などを勘案すると危険因子が目白押し。
10)補正予算のカンフル注射を打続ける必要性はまだある。勿論額はへらしながら。
(9.18記) ![]()