法 律
金融商品販売法
弁護士 永 原 憲 章
| (問) 平成13年4月1日から金融商品販売法が施行されるとのことですが、どのような法律なのですか。 |
| (答) 1. はじめに 金融商品販売法は、消費者契約法とともに新しい金融商品取引ルールを定めるものとして金融機関にとって特に重要な法律です。 まず、この法律を理解するために、本法の目的について規定する第1条を紹介します。第1条によれば「この法律は、金融商品販売業者等が金融商品の販売等に際して説明すべき事項及び金融商品販売業者等が顧客に対して当該事項について説明をしなかったことにより当該顧客に損害が生じた場合における金融商品販売業者等の損害賠償の責任並びに金融商品販売業者等が行う金融商品の販売等に係る勧誘の適正の確保のための措置について定めることにより、顧客の保護を図り、もって国民経済の健全な発展に資することを目的とする。」と規定されています。 このように、この法律は、金融をめぐる環境変化のもとで、金融取引に伴うリターンとリスクの関係の明確化と透明性の向上を図り、金融サービスの利用者が、自己責任のもとで、主体的にリターンとリスクの組み合わせを選択することを可能にし、安心して取引を行える環境を整備するために、金融取引の「ルール」を定めたものであるとされています(金融審議会第1部会中間整理)。 2. 金融商品販売法の概要 この法律は、「金融商品の販売」に際して(第2条)、金融商品販売会社等に重要事項の説明義務を課し(第3条)、これを担保するために説明義務違反によって生じた損害についての賠償責任を負わせるとともに(第4条、第5条)、金融商品の販売等に係わる勧誘の適正化のための努力義務(第7条)として勧誘方針の策定・公表を義務づけ(第8条)、これに違反した場合に50万円以下の過料に処せられること(第9条)を規定しています。 @ 「金融商品」とは、預貯金、無尽掛金、信託商品、保険、有価証券、抵当証券、金融先物、オプション取引等のことを言います。 その他必要に応じて政令で定めることとされ、新商品が開発された場合には本法を改正することなく適宜対応し得ることとなっています。 なお、郵便貯金、簡易生命保険については全くリスクのともなわないものとして本法の対象から除外されています。 また、融資取引については、金融商品の販売とは異なりますので、本法が適用されることはありません。 A 「金融商品販売業者」とは、金融商品を業として販売するもののことであり、銀行、信用金庫、信用組合、証券会社、保険会社、保険代理店等が含まれます。 3. 金融商品販売業者等の説明義務 金融商品販売業者等が金融商品を販売しようとするときは、当該金融商品の販売がおこなわれるまでの間に、顧客に対して「重要事項」についての説明をしなければなりません。 @ 説明義務の対象となる「重要事項」とは、金利、通貨の価格、有価証券市場における相場その他の指標に係わる変動を直接の原因として元本欠損が生じる恐れのあるとき(価格変動リスク)、当該商品の販売業者等の財産状況等を直接の原因として元本欠損が生じる恐れがあるとき(信用リスク)、当該商品の販売対象である権利の行使について期間制限、当該商品の販売に係わる契約の解除をすることができる期間の制限があるとき(権利行使期間、契約解除権行使期間の制限)と規定されており、その他政令で定めることができることになっています。 A 説明時期及び方法については、当該金融商品の販売が行われるまでの間に説明する必要がありますが、必ずしも書面によって説明することは必要ではなく、口頭による説明でも構いません。しかしながら、複雑な商品内容については顧客の理解を得るためには当然パンフレット類を提示しながら、説明することになると思います。 説明の程度としては、一般的には顧客が自己の責任と判断において取引を行うことができるよう具体的な商品の仕組みとそれに即したリスクの要因及び程度を理解できる程度の説明をする必要があると思われますが、もともと顧客それぞれの能力差を考えると金融商品販売業者側においては販売に際して、説明義務違反とならないためには、その都度慎重且つ丁寧な説明をすることが大切です。 B 説明義務が免除される場合として、本法は顧客が金融商品の販売等に関する専門的知識及び経験を有する者として政令で定める者である場合や重要事項について説明を要しない旨の顧客の意思の表明があった場合を規定しています。どのような場合に説明を要しない旨の意思表明があったのかについては、顧客がその意思表明の意味(リスク)を理解したうえで意思表明したものでなければ真意に出たものではないと解される余地があり、単に「時間がないから説明はいらない」とか、「その商品については十分知っているから説明はいらない」とか言った場合でも、一応商品の仕組みやリスクについて理解ができているかどうか確認すべきであり、全く説明義務が免除されていると解することはできません。 4. 説明義務違反の効果 金融商品販売業者が当該説明義務違反があればただちに、不法行為による損害賠償における権利侵害(違法性)の要件を満たすものとして損害賠償責任を負うものとし、説明義務違反についての故意、過失を要件としない無過失責任としました。そして、その損害額については、元本欠損額相当額を損害と推定する規定が設けられたことから、損害額が元本欠損額より小さいこと、説明義務違反と損害との間に因果関係がないことについては業者側が証明しなければなりません。 5. 勧誘方針の策定・公表 金融商品販売業者は、業として行う金融商品の販売等に係わる勧誘をしようとするときは、あらかじめ、当該勧誘に関する方針を定めなければなりません。勧誘方針の内容としては、勧誘の対象となる者の知識、経験及び財産の状況に照らし配慮すべき事項その他勧誘の適正の確保に関する事項について定める必要があり、これを本店の見やすい場所に掲示したり閲覧に供するなどして公表するように義務付けられており、違反すれば過料の制裁があることは前述のとおりです。 |