<企業の今>   社会福祉法人明石恵泉福祉会
  
      世界からも脚光を浴びる
     「総合福祉」を目指したい

 
藤本施設長からの一言:
「介護サービスとは専門的な知識と技術と豊かな人間性が支える仕事である。」
 恵泉は地域とともに歩みます。

  高齢者には「季節感のある料理」が大切とし、料理にこだわりを持ち、地域での評価の高い「恵泉ケアハウス」の施設長・藤本真美子氏に、設立以来およそ25年に及ぶ「社会福祉法人明石恵泉福祉会」の介護サービス事業や介護に対する考え方について聞いてみた。

―社会福祉法人明石恵泉福祉会の設立の動機と経緯についてお聞かせください―
 父・石井三郎理事長は「ゆりかごから墓場までの人の一生にかかわり社会に貢献したい」という信念から、昭和52年、社会福祉法人明石恵泉福祉会を設立しました。当時はまだ現在のように高齢化問題は注目されておらず、むしろ共稼ぎ所帯の「子育て問題」の方が大きかったのです。そのため翌53年にまず「恵泉保育園」を設立しました。平成に入り、地域の高齢化が進展してきたのに付随し、@老人保健施設、ケアハウス、特別養護老人施設等の「施設サービス」のほか、Aホームヘルプ、デイケアセンターなどの「在宅サービス」やB痴呆の初期から中期の人を、できるだけ家庭に近い環境のもとで共同生活をしながら、その病状をやわらげ進行を遅くする「グループホーム」まで幅広い総合的な介護サービスを展開してまいりました。さらに平成10年以降は西宮浜でも施設サービス、在宅サービスを開始しました。また、ヘルパーの養成事業や通信教育など人材教育にも力を入れております。施設の入居者は明石と西宮とを合わせ800人になります。

―「恵泉ケアハウス」はシネマホールやダイニングホールのある一見してホテルのような施設ですね―
 シネマホールは、地域の人と入居者がカラオケ大会をしたり、保育園児の歌や踊りの慰問を受けたり、介護教室を開いたりして地域交流の場に利用されています。また、ホームヘルパーの研修にも利用しています。ゆったりとしたダイニングホールは、三度の食事は日々の暮らしの中でもっとも楽しい時間だからこそ、ゆっくりと味わって頂きたいという強い願いからそうしたのです。つまり、介護はハード面とソフト面という両面が兼ね備わったものが求められています。しかし、余り不要なものまで投資をしてはいけません。
 恵泉ケアハウス(明石市大久保町)は東館と西館各100名がご利用できます。60歳以上の高齢者で独立して生活することに若干の不安のある方が入居対象です。入居時に20年間分の管理費359万円を一括で支払って入られる方式と併用方式で200万円を払い毎月7,757円の管理費を20年間払う方式があります。管理費は20年未満で退所された場合、利用されなかった月数分の管理費は返却いたします〔一括方式の返却額359万円−(14,958円×利用月数)、併用方式の返済額200万円−(8,333円×利用月数)〕。そのほか月45,310円の生活費や年金等の所得に応じた事務費(10,000円〜44,600円)のほか、共益費10,500円などが必要です。
 現在ケアハウスはほぼ満杯で要介護1〜3の方が40名ほど、介護認定されていない方が60名ほどいらっしゃいます。ケアハウスは勿論、地域の病院と提携しております。

―福祉法人としてお持ちの施設の入居者はケアハウス、老健、特養等合わせ800人になりますが、スタッフの募集・育成はどうされていますか―
 平成元年には老人保健施設恵泉を開設。福祉フェアが神戸や姫路で開催されており、北海道から九州までの人材が集まりました。その頃はまだ、買い手市場でした。今でも神戸のハーバーランドで福祉職場の総合案内日があります。うちはデイサービスセンター、ケアハウス、ホームヘルプ、特養などを展開する中で、募集・人材育成のノウハウを身につけました。施設が多くなってくると、それぞれの施設によって対応が違ってきます。例えばグループホームでは一度に多くの言葉を話すと理解ができません。「今からトイレに行って手を洗って散歩に出ましょうね」とこれだけいうともうダメです。「トイレに行きましょうね」と誘い、「トイレに行ったね?」とやさしく確認する会話をし、次に「手を洗って」というように一つの動詞だけで話をしていかないと理解できません。花壇でパンジーを植えたり、カレンダーを作るなど機会を設けて根気よく言葉を引出すことも大事です。スタッフの「言葉」や「顔の表情」「しぐさ」は入居者に大きな影響を与えます。こればかりは、介護に向いた人とそうでない人に分けられます。天性でしょうね。それと入所者個々人により性格や人生体験も違います。これを察することができる才能も大切です。面接試験は理事や管理職のほか時には現場の職員も参加して面接することもあります。テストの結果だけでなく対人サービスですからあたたかい人間性があるかどうかで決めます。また、平成9年からホームヘルプ2級の養成講座を開始しましたし、平成10年からはホームヘルプ1級の養成講座を始め、逆に「恵泉」が学び舎となり、今では養成したヘルパーの半分は当方が採用しますが、半分はそれぞれの地域で活躍するほどになりました。

―介護サービスは地域との関わりが重要ですね―
 明石・大久保団地及びその周辺では地域社会が高齢化する深刻な問題がありました。当初は地域に住む人たちの入所がほとんどだったのです。その後地域から当所に対する信頼感が次第に出てきました。例えば、地域に住む娘さんで、北海道、新潟、沖縄など遠方に住む実家の親を呼んで恵泉へ入所するケースも増えてきました。地域の人との関係では、8月には、市内の民謡グループの方や他地域の方が施設に来られて盆踊りをしてくださいます。入居者もこの日ばかりは生き生きとして車椅子の上で適当に手足を動かして踊ってくれます。この姿を見て家族の人は何よりも嬉しい、安心して帰れますといって喜ばれました。また、恒例の文化祭には入居者が1年間に作り上げた手芸の編物、紙細工を展示し、地域の方を招待します。会場にこられた方にお茶の先生がボランティアでお茶会をしてくださって、ほのぼのとした交流の時が流れます。反対に敬老の日等に元気な人がバスに乗って会場まで行って踊ったり、どこかにカラオケを歌うためにグループで出向いたり、市内の俳句の会に行ったりと、こちらから参加します。また、シネマホールに講師を招いて高齢者の健康について地域の人と一緒に受講したりして交流もできています。その結果、老後は「恵泉」に任せたいという人が増えてきました。スタッフからは是非恵泉に親を入れたいという人も多く、実際たくさん入所しておられます。

―施設長さんご自身「四季の料理本―高齢者向け献立集―」(春、夏、秋、冬各1冊)という本を編集・出版されていますね―
 一般に80歳で5つぐらいの病気があります。特養だとモノが飲み込めない「嚥下」、老健は脳梗塞、脳卒中の後遺症や糖尿病の人が多く、ケアハウスは高血圧が多い。これらをきちんとカルテを含め個人記録表につけております。記録を見て誰でも介護できる「介護マニュアル」も作成しています。実はここに入所されるまで1日2食の高齢者の方が多いことに驚かされました。当所では「季節感のある料理」を出すように心がけています。施設の入居者は外出のできない人が多いので食べ物を通じて四季を感じて頂くようにしています。春は春らしい料理。その季節の旬の食材を上手に使うことがポイントです。行事食は特に力を入れております。お膳にメニューを書き込んだ「カード」を添えています。「箸を入れる紙袋」は、ひなまつりにはお雛さま、母の日にはカーネーション等行事に合わせ紙で作ったものを貼りつけ華やいだものにいたします。個々人の健康状態に合わせて食材やカロリーを変え、おやつも、カルシウムの日、ビタミンの日とメリハリをつけて出しております。
 「四季の料理」は高齢者向けの季節感のある料理の本をと、毎日の食事ひとつひとつの素材、材料の量、カロリーなどを表に示したレシピです。

―21世紀の介護保険サービスのあり方は―
 私どもは、北欧、オーストラリアなどに定期的に勉強に行っています。その中で制度的に取り入れられないものがありますが、必ず細かいところでも1つ2つは勉強になるものです。よいと思ったサービスは積極的に取り入れております。逆に海外からも視察にいらっしゃいます。中国、オーストラリアなどからです。これから高齢化を迎える国は非常に熱心です。
 介護保険がスタートしてまだ1年。今は「知恵」を出し合う段階です。成熟するにはもう少し時間がかかると思います。例えば、今の介護保険制度では、施設側が努力して要介護4から2に改善すると、むしろ報酬は減ります。これを評価するシステムがあってもよいのではないでしょうか。私どもは独自の介護マニュアルを作成しておりますが、これを随時、実情に合わせてステップ・バイ・ステップでレベルアップさせていきます。この4月からはホームヘルパー2級養成の通信教育も始めました。恵泉で蓄積した「ノウハウ」が売れるようになっています。
 今後、介護サービス分野の競争激化が予想されます。その中でやはり営利中心の全国展開よりも地域に密着した福祉施設の方が有利になるのではないでしょうか。社会福祉法人は利益を追求するのでなく、将来を展望しながら、継続的な経営の安定を考えて心の通ったケアを精一杯やり抜くことに尽きます。今後ますます法人の経営基盤を強化して優秀な人材を育成して資質向上に努め、地域密着型の総合施設として世界からも注目されるモデルとなるような福祉の頂点を目指して走り続けたいと思います。

(聞き手:水上 潤)

社会福祉法人明石恵泉福祉会
理事長 石井三郎
住 所 明石市大久保町大窪
31011

介護サービスの事業内容
 

明 石 地 区

西 宮 地 区

居宅サービス事業

・ 在宅介護支援センター(大久保北 高丘)
・ 居宅介護支援事業(大久保北 高丘)
・ ホームヘルパーステーション
(大久保北、高丘、西明石、魚住、二見、西神)
・ 訪問看護事業(高丘)
・ 訪問入浴介護事業(高丘)
・ 恵泉第
1デイサービスセンター    40
・ 恵泉第2デイサービスセンター(E)
10
・ 恵泉第1短期入所生活介護      
20
・ 恵泉第
2短期入所生活介護       20
・ 老人保健施設短期入所療養介護
・ 恵泉LSA事業
・ 緊急通報システム

・ 在宅介護支援センター(西宮浜)
・ 居宅介護支援事業(西宮浜)
・ ホームヘルパーステーション(西宮浜、高須)
・ 恵泉西宮浜デイサービスセンター
     40
・ 高須デイサービスセンター   
      30
・ 西宮恵泉短期入所生活介護
・ 西宮恵泉LSA事業
・ 高須LSA事業

施設サービス事業

・特別養護老人ホーム恵泉    定員 80
・恵泉第
2特別養護老人ホーム  定員 80
・老人保健施設恵泉  一般棟  定員
100
           痴呆棟  定員
100
・ケアハウス恵泉        定員
100
・第
2ケアハウス恵泉       定員100
・恵泉グループホーム      定員
18

・ 特別養護老人ホーム西宮恵泉   定員100
・ ケアハウス西宮恵泉 
        定員 50

その他事業

・ ホームヘルパー養成講座 1級課程
・ ホームヘルパー養成講座 2級課程
・ ホームヘルパー養成通信教育講座 2級課程
・ 配食サービス

・ホームヘルパー養成講座2級課程